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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

2016年6月19日

何ゆえ、日本人には英国での選挙権がありませんの?


徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

先日、聖エリザベス女学院の在英卒業生の集まりに出席してまいりました。その折に、ロンドンの金融機関で働きはじめてから6年という女性にお会いしました。エネルギー溢れる素敵な方で、昨年に英国永住権(通称「パーマネントビザ」と呼ばれる無期限滞在許可証です)を取得されたということでした。真剣に英国での永住も考えているそうですが、最近、ひとつ大きな不満を抱えておられるとのこと。うかがってみますと、英国では永住権を有し、なおかつ働いて税金を納付していたとしても、日本国籍者には「選挙権」がないのだそうです。

近ごろ、英国では今後を決める重要な選挙が度々実施され、テレビや新聞などでも大きな話題となっております。一昨年のスコットランド独立の是非を問う住民投票にはじまり、昨年は総選挙、今年はロンドン市長選に加え、約一週間後の6月23日にはEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票が行われます。彼女のご自宅にも投票を呼びかけるリーフレットが届いたそうなのですが、選挙に参加できずに悔しい思いをなさっているとのことでした。在英外国人の選挙権の取得条件は、一体どのようになっているのでしょう? 前述の先輩にかわって、というわけではございませんが、調べてみることにいたしました。

英国政府が発行している刊行物によりますと、今回のEU離脱の是非を問う選挙(EU Referendum)への投票権が与えられているのは、18歳以上の英国籍保持者、英国在住のアイルランド人とコモンウェルス(英連邦)各国所属者だけとのこと。英国籍保持者なら、事前登録さえ済ませていれば英国外在住者でも投票できるそうです。これは「国民投票」実施時の一般的な規定で、昨年行われた総選挙も同じ条件でした。

一方、ロンドン市長選などは「地方選挙」にあたり、この場合はロンドン在住の18歳以上の英国籍保持者、アイルランド人、コモンウェルス各国所属者のほか、在留資格のあるEU加盟国の国民も投票に参加できたそうです。ですが、いずれにしろ日本国籍者には選挙権はありません。では、英国在住の日本人が投票する権利を得るには、どうすればよいのでしょう?

簡潔に申しますと、英国籍(市民権)を取得する以外に方法はないようです。永住権を取得し、何十年も英国で暮らして納税していようとも、国籍が日本のままでは英国の国政に参加する権利は与えられないのだとか。選挙結果によっては、納税者への負担増が予想されるものもあり、直接の影響を受ける納税者にはすべて投票権を与えるべきでは、とも思うのですが、政府の主張としましては「住民税は医療、警察・消防、交通機関、街の清掃などの公共事業に使われており、英国籍でないにもかかわらず、分け隔てなくこうした恩恵を受けられていることを幸いと考えてほしい」とのこと。たとえ納税していても、これが「外国人」に対する英国人の本音なのかも…と少なからずショックを受けた次第です。

日本にいました折は、「外国人は外国人」と思っておりましたのに、いざ自分が「外国人」として扱われると不満に思うとは…誠に勝手なものでございますね。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成28年6月12日 るり子


とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の25歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英1年9ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
 

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