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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

2016年9月1日

何ゆえ、独身最後の日を祝う女性だけのパーティーを「ヘン・パーティー」と呼ぶんですの?


徳川るり子

愛するお父様へ

サマーバンクホリデーの3連休は、友人と一緒にチェコ旅行を楽しんでまいりました。首都のプラハはもちろん、世界遺産に指定されているクトナー・ホラ、チェスキー・クルムロフの町も訪れることができ、充実した夏季休暇となりました。とくに、筒状に巻かれたドーナツのようなチェコの伝統菓子「トゥルデルニーク(Trdelník)」(英国では「チムニー・ケーキChimney Cakes」と呼ばれているようです)がとても気に入り、我慢できずに毎日いただいてしまいました…。ロンドンでも販売しているお店があるとのことですので、ぜひ今度行ってみたいと思っております。

さて、今日も新たに知り得ましたことをご報告いたしますね。

先日、オックスフォード・ストリートを歩いていたときのことです。前方から賑やかな女性のグループが歩いてきました。黒とピンク色で統一した華やかな服装をしていらっしゃるのですが、なかでも目立っていたのが頭にティアラと短いベールを飾った女性。たすきのようなものをかけており、よく見ると「Bride to be」と書かれています。そのときは不思議に思っただけだったのですが、後日、エドワーズご夫妻宅の近所でも同じような光景を目にいたしました。このグループの女性たちは年齢層が幅広く、「Bride to be」のほかに「Bridesmaid」「Mother of the Bride」と書かれているたすきも見られます。この集団は一体何なのでしょう? エドワーズ夫人に尋ねてみますと、「結婚する花嫁の独身最後の日をお祝いするために、女性だけで仮装などをして出かけているのですよ」とのこと。ティアラとベールを身につけ、「Bride to be」のたすきをかけていた女性が、花嫁だったようです。日本ではあまり耳にしたことがない習慣に興味がわき、詳しく調べてみることにいたしました。

資料をあたりましたところ、花嫁を主役にした女性だけのパーティーを「ヘン・パーティー(Hen Party)」、花婿を主役に男性だけで行うものを「スタッグ・パーティー(Stag Party)」と呼ぶそうです。「Hen」とは雌鶏のことですが、中世の時代にはメスの鳥全般を意味する言葉だったのだとか。一方、「Stag」も現在は牡鹿という意味ですが、中世ではオスの動物全般を示していたとのことでした。

ヘン・パーティーよりもスタッグ・パーティーの方が歴史は古く、最古の記録は5世紀のギリシャにさかのぼります。英国内では6人も妻を迎えたヘンリー8世の時代に盛んに行われ、同王は王妃を迎える前夜に多くの客を招き、男性だけで派手な祝宴を催しました。これが英国でのスタッグ・パーティーの起源とされているようです。そういえば、ハンプトン・コート宮殿で行われるイベントでも、そういったものがあったことを思い出しました…。残念ながら、ヘン・パーティーの起源ははっきりとわからないようですが、花嫁の幸福を祈って「ヘナ・タトゥー」を手足などに描いたりすることから、北アフリカや中東、東方の習慣の流れをくむと考えられているようでした。

それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成28年8月30日 るり子


とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の25歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英1年11ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
 

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