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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

2016年11月18日

何ゆえ、英国にはアドベント・カレンダーなるものがありますの?


徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

昨日、わたくしは26歳の誕生日を迎えました。子どもの頃は、26歳といえばすっかり「大人の女性」のように思っておりましたが、実際はまだまだ至らぬ点が多く反省しております。しっかりとした一人前の女性になるためにも、多くの人々と交流し、さまざまな場所へ足を運んで見聞を広めるとともに、英語の勉強にもより励んでまいりたいと思っている次第です。大好きでつい衝動買いしてしまうチョコレートも、そろそろ卒業すべきでしょうか(購入するのは週1回と決めてはいるのですが…)。

さて、今日も新たに知り得ました事柄をご報告いたしますね。

昨年の今頃、エドワーズご夫妻から「アドベント・カレンダー」をプレゼントしていただきました。アドベント・カレンダーとは、クリスマスまでをカウントダウンするカレンダーのことで、日付が書かれた小窓を開け、隠された可愛らしいイラストを目にするのが、毎朝の楽しみとなっておりました。今年は日本にいる友人たちに贈ろうと、あちこちのお店を見てまわった末、素敵なカレンダーを見つけることができ、ほっとしております。それにしましても、日本ではお正月までを指折り数える歌などはございますが、年明けまでをカウントダウンするカレンダーの存在は記憶にありません。一体なぜ、このような習慣が英国で生まれたのでしょう? 調べてみることにいたしました。

いくつか資料をあたりましたところ、アドベント・カレンダーは、19世紀のドイツが起源のようです(クリスマス・ツリーを飾る習慣もドイツ発祥と聞いたことがありますので、不思議なことではございませんね)。アドベント(Advent)とは「到来」を意味するラテン語で、キリストの誕生を待ち望む期間のこと。12月25日の4週間前の日曜からクリスマスまでを指すそうです。この期間中、家の扉にチョークで毎日線を引き、クリスマスまでの日数を数えたのが始まりだとか。

現存するもっとも古いアドベント・カレンダーは、ドイツで1851年につくられた「手作り」のもの。一般に販売されたのは、1902年にハンブルクにある書店が出版したカレンダーが最初でした。1904年の冬には、新聞の特別付録としてアドベント・カレンダーが購入者にプレゼントされ、瞬く間にドイツ国内で知られるようになったそうです。

その後、第二次世界大戦で紙が不足し、アドベント・カレンダーは一度姿を消します。ですが大戦終了後、リチャード・セルマー社が1946年にアドベント・カレンダーを復活させ、「新しいクリスマス・グッズ」として欧米にも広めたとのことでした。同社は、現在もアドベント・カレンダーのみを販売し続けているそうです。

昔は、カレンダーの各窓に隠されていたイラストやメッセージを楽しむといったシンプルなもの(キリスト誕生の物語が描かれているものが多かったとか)だったそうですが、やがてお菓子やおもちゃが入ったもの、オブジェとしても飾れる立体的なものが登場し、今に至っているとのことでした。

山手のお屋敷にも、わたくし一押しのアドベント・カレンダーをお送りしようと思っております。気に入っていただけますと幸いです。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成28年11月14日 るり子


とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の26歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英2年2ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
 

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