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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

2017年3月30日

何ゆえ、春のテムズ河で
ボートレースが行われますの?


徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

お父様、いかがお過ごしでしょうか? 本日からサマータイムが始まりました。街中では水仙や桜、木蓮などがあちこちで咲き、やっと厚手のコートとブーツの生活から解放されそうです。もっとも、英国のことですから、またまだ油断は禁物ですけれど…。

さて本日は、またひとつご報告したいことがあり、筆をとりました。

ロンドンの春の風物詩に挙げられるスポーツ・イベント「ボートレース(The Boat Races)」が、今週末に開催されます。「春を告げる伝統の一戦」とも呼ばれ、毎年3月下旬~4月初旬の日曜日に、オックスフォード大学とケンブリッジ大学がプライドを懸けた熱い戦いを繰り広げます。ボートレースといえば、モーターボートによる競艇を思い浮かべてしまうかもしれませんが、英国におけるボートレースとは「レガッタ」のこと。複数人でオールを使ってボートを漕ぐ、格式高いスポーツです。

開催場所はテムズ河で、ロンドン西部のパットニーからモートレークまでの全長約7キロ。レース自体は20分ほどで終わってしまうものの、毎年多くの人々が朝早くから観戦のために河沿いで場所取りをしたり、自宅でテレビ中継を見たりします。エドワーズご夫妻は、どうやら今年は久しぶりにテムズ河に足を運ばれるご様子。わたくしもご一緒させていただく予定でおります。それにしましても、この180年以上の歴史を持つボートレース、一体どのようにして始まったのでしょう? 調べてみることにいたしました。

資料をあたりましたところ、この伝統あるレースは、ロマン派の詩人ウィリアム・ワーズワースの甥にあたる、チャールズ・ワーズワースが起こした「ある騒動」が起源なのだとか。当時、オックスフォード大の学生であったチャールズ・ワーズワースは、名門パブリック・スクールのハロー校時代の学友で、ケンブリッジ大に通うチャールズ・メリヴェールと、何かと張り合っていました。運動神経バツグンであったというワーズワースは、1827年に大学の名をかけてクリケットの試合を決行。彼はオックスフォード大チームのキャプテンを務めたそうです。この試合はオックスフォード大が勝ち、リベンジを誓ったメリヴェールは、1829年にボートでの再戦を希望。しかしながら、このレースもオックスフォード大の勝利で終わったそうです…。

これらの試合やレースは、両大学の関係者だけではなく一般の人々にも好評で盛り上がったことから、クリケットは「ユニバーシティ・マッチ」、レガッタは「ボートレース」と名を変え、今も両大学は戦い続けているとのことでした。ちなみにボートレースでは、レースの起源に則って、前年に負けた大学チームが勝った大学チームに試合を申し込みに行くことが伝統とされているそうですよ!

今年のボートレースの開催は4月2日(日)。昨年はケンブリッジ大が勝ったようですが、今年はどのような戦いが見られるのでしょうか。とても楽しみにしている次第です。

それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成29年3月26日 るり子


とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の26歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英2年6ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。

 

 

 

 

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