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2013年11月14日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物③ローヌ川流域南部 その2

ローマ教皇ゆかりの
シャトーヌフ=デュ=パプ

アヴィニョンAvignonの北東に位置するリシュランシュRicherenches村で毎年開かれるトリュフ市について前回(11月14日号)ご案内したが、この地方はトリュフの他、モモ、ナシ、リンゴ、ミルティーユ(こけもも)、栗、ニンニク、タマネギ、そして何よりワインの産地として知られる。優れたワインを造り出しているのはローヌ川流域南部で、ヌガーで有名なモンテリマールMontelimarの町からアヴィニョンの南までの約80キロにおよぶ、ローヌ川添いに広がる比較的平坦で広大な地域だ。気候は温暖な冬と、暑い夏の間に、地中海式気候の秋がはさまる。白とロゼも幾らか造られているが、赤ワインの生産が圧倒的に多いのも特徴。
ここで最も有名なワインは、シャトーヌフ=デュ=パプChateauneuf-du-Papeだろう。その名の通り、「ポープ(ローマ教皇)の新しい宮殿」のワインだ。今から約700年前のこと、ローマ教皇がアヴィニョンに居住させられた時(1308~78年、『アヴィニョンの幽囚』と呼ばれる)、ボルドーの大司教だったクレマン5世Clemant Vが、アヴィニョンから10キロほど北東に位置する、より涼しい地域でブドウ栽培を始めた。当初、そこで造られたワインは「ヴァン・デュ・ポープVin de Pope(教皇のワイン)」と呼ばれていたが、後任のヨハネス22世John XXIIが、別荘として同地に宮殿を築いたことから、その後、そこで造られるワインは、シャトーヌフ=デュ=パプと呼ばれるようになった。 このシャトーヌフ=デュ=パプのワイン・ボトル=写真=に、ローマ教皇の紋章が見られるのはこの経緯による。教皇のシンボルである3重冠と、その下に聖ペトロがキリストから授かったとされる「天国への鍵Key to Heaven(交差した2本の鍵)」がほどこされている。

ハズレのない頼もしいワイン

シャトーヌフ=デュ=パプとして、ほんの3%のみだが白ワインも造られており、これにはクレレットClairette種、ルーサンヌRoussanne種等が用いられる。しかし、ほとんどは赤ワインで、買ったときが飲み頃という頼もしいワインでもある。つまり、買ってから飲むまでに何年間も寝かすといった面倒がない(ごくわずかだが、例外のワインもある)。
レストランのワイン・リストに必ずといっていいほど含まれ、ヴィンテージ(ブドウの収穫期)を考えずに選ぶことができるのはありがたい。というのも、最高13種類のブドウ品種をブレンドしてよいことになっており(通常は5、6種類をブレンドすることが多い)、その年の出来のよい品種を使うことが許されているのだ。間違いなくおいしいのはこのおかげ。世界で最も信頼されているワイン評論家のロバート・パーカー氏が、「今夜は何を飲もう」と決めていない時に選ぶワインだという。グルナッシュGrenache種が主体で、赤や黒の果実香味が凝縮されており、タンニンが柔らかく、口当たりがスムーズで、肉付きのよい、バランスのとれたフル・ボディのワインとして愛好家は多い。
ブドウは、川原を想わせるような大きな石がゴロゴロしている畑で栽培されている=写真上。この石は土の上を覆っているだけでなく、地中にもあり、昼間の太陽熱をしっかり貯え、涼しい夜間時に放熱するためにブドウ果実がしっかりと完熟するのを助けている。普通、このワインのアルコール度が14%と高めであることも納得がいく。
なお、この地方の代表的な料理に、豚の膀胱を利用した郷土料理がある。筆者はまだ試したことがないが、豚の膀胱を塩漬けにし、コニャックなどでマリネして匂いを取り除いた後、鶏や山鳩一羽を丸ごと詰め、ブイヨンを注ぎ、湯煎しながら火を通して料理し、トリュフのクリームソースを添えていただくのだそう。この説明から受ける印象とは違い、特に変わった料理ではないらしく、日本のフレンチ・レストランでもサーブされている。機会があれば試してみたい料理といえるだろう。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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