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2014年1月16日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物③ローヌ川流域南部 その3

ワイン産地が数珠のように連なるローヌ川流域

ローヌ川は、地中海に流れ込むフランスで2番目に長い大河。スイスの山々に源を発し、レマン湖を経由して南へと流れ、ブルゴーニュ地方を南下するソーヌ川とリヨンで合流する。このローヌ川沿いの地域のブドウ栽培&ワイン醸造技術の歴史をみてみると、最初、古代ギリシャ人によりローヌ川河口にあるマルセイユに持ち込まれ、シーザー率いるローマ軍によって、そして後にはカトリック修道院の繁栄とともに北進した。ローヌ川流域では、ワイン産地が北方面へ、つまりプロヴァンス地方、ローヌ川流域、ブルゴーニュ地方へと、まさに数珠のように連なっているのは、この理由による。

有名シェフに救われた品種

このローヌ川流域は、パリの富豪層たちがニースに避暑に出かける際のルートにあたっており、有名レストランが実に多いことでも知られる。辻料理学校の辻静雄氏に京都に招待された結果、日本料理の影響を強く受け、ヌーベル・キュイジーヌの生みの親として知られるようになったシェフ、ポール・ボキューズPaul Bocuseのレストランはその一例。実は、彼のレストランは、消滅寸前だったフランスで最も古いブドウ品種の復活に大いに貢献している。その品種とは、西暦3世紀にこの地域に持ち込まれたヴィオニエViognier。1960年代にはフランス国内に14ヘクタールの畑を残すだけとなったのだが、80年代にボキューズのレストランのワイン・リストに載り、ここに集まる有名人、特にアメリカ人に好まれるという幸運に恵まれた。その影響で国内の栽培面積が増えたばかりか、カリフォルニアを始め、他のニューワールドの産地でも栽培されるようになったのだ。

イタリアからやってきた黒ブドウの突然変異種

とはいうものの、この品種名やその産地を知る人は今もなお少ない。リヨンから車で30分ほど南下したローヌ川北部流域の右斜面にこの品種の産地、コンドリューCondrieuとシャトー・グリエChateau Grilletが位置する。急勾配の斜面に張りつくように、株仕立てにブドウの樹が植えられ(針金に沿って仕立てるのではない)、その一本一本が支柱によって支えられている。エルミタージュHermitageやシャトーヌフ=デュ=パプChateauneuf-du-Papeといった赤ワインの生産が多いローヌ川流域にはめずらしく、ここはヴィオニエ品種だけから造られる白ワインのみの産地だ。
ブドウ品種としてのコンドリューは、もともとダルマチア(今のクロアチア)からコンドリューの地に持ち込まれたようだ。2004年のDNA検査の結果で、この品種はイタリア北部で育つ黒ブドウ品種のフレイサFreisa種と、同じく黒ブドウ品種のネッビオーロNebbioloから生まれた突然変異種だということがわかっている。比較的暖かい気候を好み、水不足に耐えられるが、うどんこ病にかかりやすく、また早期に開花するために春の霜害の影響を受けやすい。ブドウは深い黄色の小さい果粒で、房も小さめ。造られるワインは、麦わら色から黄金色を呈する。ミネラル感が強く、桃やアプリコット、そしてハチミツを思わせる大変香しい、多少粘着性のある、フレッシュで芳醇な、香味の凝縮された辛口ワインだ。収獲年にもよるが、ヴィンテージ(単一の生産年のブドウのみからなるワイン)のコンドリューは10年、シャトー・グリエは15年間はもつ。

おすすめのチーズと料理


© Arnaud 25
コンドリューもシャトー・グリエも生産量が少なく高価なワインだが、これらと一緒に楽しみたいこの地区のチーズに、希少価値の高い(年間生産量わずか60トン)リゴット・ドゥ・コンドリューRigotte de Condrieuがある=写真左。小さい円型の山羊乳製チーズで、しっかりした食感、優しい酸味とヘーゼルナッツ風味が特徴(「とろとろ」状態まで熟成させても美味)。また、牛乳で作られるセイント・マルセランSt Marcellinやセイント・フェリシアンSt Felicienもコクと甘味があり、これらのワインによく合う。これらはぜひ、「とろとろ」状態まで熟成させて味わってほしい。
一方、リヨンには名物のシャルキュトリー(charcuterie=ハムやソーセージなどの加工肉)も多く、特に太い腸詰めのロゼットRosetteや、ジェス・ドゥ・リヨンJesus de Lyon(直訳すると「リヨンのイエス・キリスト」)といったソシソン(サラミよりもややソフト)がお勧め。そのまま薄く切って前菜として、あるいは茹でてポテトとあわせたり、メイン料理のソシソン・ショsaucisson chaud(熱いサラミという意味)として楽しめるが、いずれもこれらのワインと好相性。また、長く熟成させた古いワインは、フォアグラやトリュフを使った、ブレス鶏の胸肉にモリーユ茸(アミガサ茸)を添えてクリーム・ソースでいただく料理=同左の下=などの絶妙のパートナーといえる。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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