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2014年2月13日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物③ローヌ川流域南部 その4

ワイン界に採点制度を持ち込んだ米国人

世界で最も有名な、そして最も影響力のあるワイン評論家といえば、ロバート・パーカーRobert Parker。彼は、1982年のボルドー赤の先物買いにあたって行われたテースティングで、他のワイン批評家たちが長期熟成は望めないとするなか、一人「世紀のヴィンテージ宣言」を敢行。のちに、その『宣言』が見事に当たったことにより注目を浴びた評論家だ。米国人で、もともと弁護士だったパーカーは、学生の時に訪れたフランスのアルザスでワインに魅了され、またそこでワインの勉強をしていた現夫人と結婚したことにより、1975年からワイン・ガイド本の執筆を始め、1984年からワイン評論家としての道を選んだ人物だ。彼は、ワインに100点満点の採点法を導入。現在ではその点数によって、世界市場に出回っているワインの価格が決められているといっても過言ではない。

100点満点を一番多くとったワイン商

さて、この採点法で100点満点をとるワインは滅多にないのだが(2009年現在で21のワインが取得)、パーカーから一番多くのワインに100点満点を得たワイン商というのが、ローヌ川北部流域にいる。アンピュイAmpuisの村(リヨンから車で南に30分)に本拠を置くエティエンヌ・ギガルE Guigalだ。このあたりは、コート=ロティCôe-Rôie(『焼ける斜面』の意)と呼ばれるワイン産地で、スイスから南へと流れるローヌ川が、東から西へとコースをとるために、その右岸に位置する斜面が南東向きとなり、日照が非常に強いことからそう名付けられた。斜面の勾配が急であるため、すべて手作業。最上のブドウ栽培地はコート・ブリュヌCôe Brune(『褐色の髪の斜面』の意)とコート・ブロンドCôe Blonde(『金髪の斜面』の意)という斜面で、ブロンドの斜面からは軽めの、そしてブリュヌ斜面からは重厚なシラー種を生んでいる。その昔、この斜面を所有する栽培者のふたりの娘が、それぞれ褐色の髪と金髪の髪だったことに因んで名付けられたという。通常、コート・ロティの上質ワインは、この2つの斜面に位置する畑で育つシラー種とヴィオニエ種をブレンドして造られている。

ギガルの御三家

ロバート・パーカーから100点満点を取得したギガルのワインは、ラ・ムーリーヌLa Moulin、ラ・ランドンヌLa Landonne、そしてラ・テュルクLa Turqueという単一畑産ワインで、ギガルの御三家(英語では、ギガルの『ラ・ラスLa Las』と言う)と呼ばれている。ラ・ムーリーヌの畑はコート・ブロンドの斜面、ラ・ランドンヌはコート・ブリュヌの斜面、そしてラ・テュルクはコート・ブロンヌに近いコート・ブリュヌの斜面に位置し、ラ・ムーリーヌは89%シラー種+11%ヴィオニエ種、ラ・ランドンヌは100%シラー種、ラ・テュルクは93%シラー種+7%ヴィオニエ種から造られる。このため、ラ・ムーリーヌが3つの中では一番軽めで芳醇かつエレガント(15~20年間保存可)、ラ・ランドンヌが最もタンニンが多く重厚で長寿(よい年のものは40~50年間保存可)、そしてラ・テュルクがその中間のスタイル(20~25年間保存可)となっている。この3つのワインは、100%新品のオーク樽で42ヵ月間熟成され、清澄剤を使わず、ろ過もしないで瓶詰めされる。瓶詰後3~4年目頃からその凝縮された複雑な個性(ベーコンの脂身、焼きたてのパン、カシス、ブラック・ラズベリー、ブラック・オリーブ、紅茶の出がらし、キノコ等の香味)が出始める。このようなワインは少なくとも飲む2時間前にはディカンタージュすることが必要。
さて、この長期熟成したワインにあう料理は、クローヴ、黒こしょう、ローリエ、ローズマリー、タイムといったハーブを使ってローストした肉塊やカスレ(豆と肉の煮込み料理)、ジビエ(狩猟肉の料理)などだろう。そして、食事の後は、14世紀、この地方のアヴィニョンにて行われた、ローマ法王選出会議に供されたというチーズ、アボンダンスAbondance=写真=でしめくくりたい。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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