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| 2014年4月10日 |  |
ご当地ワインと郷土料理＆名産物④フランス南部 その１
絶景を堪能しながらマルセイユへ
フランス第２の長さを誇るローヌ川はスイスに源を発し、マルセイユ近くで地中海にそそぐ。フランス南部の地中海沿岸に横たわるワイン産地のうち、同川の河口を境に東側（イタリア寄り）の地中海沿岸に広がるのがプロヴァンスProvenceのワイン産地、西側（スペイン寄り）がラングドック＝ルシヨンLanguedoc-Roussillonのワイン産地と呼ばれている。
ローヌ川流域ワイン産地の南部にあるアヴィニョンから、さらに南に横たわるプロヴァンスのワイン産地にあるマルセイユへと向かうドライブは最高だ。何と言っても絶景が多い。岩肌の山の斜面や頂に築かれた美しい村々を眺めながら、緩やかな起伏の続く国道７号を南下し、大きな斜面を上りつめるとアクアマリン色の地中海が突然目の前に姿を現す。そのまま地中海に飛び込むように国道を下るとマルセイユに着く。
早春に行われる『ウニ祭り』
(上)© Jddmano (下)© Stu Spivack マルセイユは、フランス最大の港湾都市で、パリに次ぐ人口を有する第２の都市。紀元前600年に古代ギリシャ人によって築かれたフランスでも最も古い都市のひとつで、フランスのワイン産地の源といえる町でもある。マルセイユの港に着くと、まず、海の幸を焼く匂いが立ち込めていることに驚く。ロブスターや貝類を焼く屋台が数多くあり、白い煙があちらこちらから立ちのぼっている。また、魚介類のレストランがところ狭しと立ち並び、シーフード好きにはたまらない、美味しいものが揃った町だ。
ヨーロッパではなかなか入手の難しいウニも、古代ローマ人の大好物だったが故に、マルセイユ周辺のレストランでは気軽に味わえる。特筆に値するのは、マルセイユから30キロ西にある小さな港町カリ・ル・ルエCarry le Rouetで毎年２月から３月にかけて行われる『ウニ祭り』＝写真。専用のはさみでまっぷたつにし、中身をスプーンですくって生のママ味わう。日本人としては、おしょうゆやご飯を持参していきたいものだ。
辛口のカシの白ワインとブイヤベースに舌鼓
さて、思わず舌なめずりをしてしまいそうなほどのマルセイユだが、その周りにあるワイン産地に目を向けてみよう。まず、北に位置するエク・サン・プロヴァンス周辺にあるのは、コトー・デク・サン・プロヴァンスCoteaux d'Aix-en-ProvenceとパレットPalette。両方ともまずまずの赤、白、ロゼのワインを造る。地中海沿岸を東方向に行くとカシCassis（ブルゴーニュ地方で黒スグリから造られるリキュールのカシスと混同しないこと）とバンドールBandolがある。カシでは赤もロゼも造られるが、最も名高いのは白。というのは、このワインが同地方の名物、魚介料理のブイヤベース＝写真下＝のお相手として飲まれるワインだからだ。ブイヤベースは、同地方沿岸の岩礁に群れをなす５～６種類の小魚を、真水で洗わず、ウロコも腹わたも抜かずに丸ごと使用するダイナミックな料理。オリーブ油で炒めたセロリ、タマネギ、フェンネルなどの香味野菜に、小魚やエビ、貝、トマト、ジャガイモなどを加えて煮込み、サフラン、ローズマリー、ディル、パセリといったハーブ類で風味をつけて作る濃厚スープと、スープとは別に煮たホタテ、魚、エビ、イカなどを一緒に食す。具がスープの中に入っている場合もあるし、具とスープが別々に出される場合もある。このブイヤベースに、辛口のカシの白を頼むのが通。カシの白は以前はマスカットMuscat種から造られていたが、今ではクラレットClairette種、マルサン Marsanne種、ユニ・ブランUgni Blanc種、ソーヴィニョン・ブラン Sauvignon Blanc種が使われることが多い。アルコール度がかなり高いので、この点にはご留意のうえ楽しんでいただきたい。
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