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2014年6月12日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物④フランス南部 その3

オック弁を話す地域で造られる地元酒

引き続き、フランス南部についてご紹介することにしたい。マルセイユ近くで地中海に注ぐローヌ川を境にしてスペイン側(つまり西側)は、ラングドック=ルシヨンLanguedoc-Roussillonと呼ばれる地中海沿岸の広大なワイン産地だ。ラングドック地方にはガールGard、エローH駻aut、オードAudeの3県、ルシヨン地方にはスペインと隣り合わせたピレネー=ゾリエンタル県Pyrenees-Orientales(日本では「ピレネー=オリエンタル県」としばしば呼ばれる)が含まれる。
丘陵地帯にはいくつかの保護原産地呼称ワイン(AOCワイン)と呼ばれる上質ワイン産地もあるが、一番よく知られているのは地中海沿岸地方で造られるペイ・ドックPays d'Oc、またはヴァン・ドゥ・ペイ・ドックVin de Pays d'Oc(vin=ワイン、pays=地方)と呼ばれる地酒だろう。地酒とは地理的表示がなされた上質ワインで、原産地統制名称の上質ワイン(AOCワイン)より一般的なワイン。幾つもの県を含むような広い地方をカバーしたり、県や地域だけをカバーする場合があるが、この地方では「オックOc弁」が話されていることから、また、各県の名前があまり知られていないために、ペイ・ドックを名乗るワインが少なくない。国際的に有名なブドウ品種が使われることが多く、「ペイ・ドック・メルロPays d'Oc Merlot 2011」というように使用ブドウ品種名がラベルに明記されているので消費者にもわかりやすい。

難攻不落の麗しき町


© University of North Carolina

「カルカソンヌを見ずして死ぬな」という格言があるほどの町、カルカソンヌCarcassone=写真左=はオード県にある。紀元前3世紀、古代ローマ時代に要塞都市として誕生、13世紀にはフランス王ルイ9世によって城壁が2重に張り巡らされ、難攻不落といわれた。2つの高い塔に挟まれた門をくぐって城壁内に入ると、中世の街に迷い込んだかのような錯覚にさえ陥る。ユネスコ世界遺産として登録されており、フランス国内ではモン・サン=ミシェルに次ぐ年間来訪者数を誇る一大観光名所となっている。
このカルカソンヌの周りには、ブランケット・ドゥ・リムーBlanquette de Limouxやクレマン・ドゥ・リムーCremant de Limouxといった発泡性ワイン、ミネルヴォアMinervois、コルビエールCorbi鑽es、フィトゥーFitouといった赤ワインで有名な原産地統制名称ワイン産地がある。ブランケット・ドゥ・リムーとクレマン・ドゥ・リムーはどちらも、主にモーザックMauzac種(これにシャルドネChardonnay種やシュナン・ブランChenin Blanc種がブレンドされることが多々見られる)から造られる発泡性ワインで、シャンパンと同じようにびん内で二次発酵させることによって発泡性を持たせている。

© BBC
ブランケット・ドゥ・リムーが初めて造られたのは1851年。つまり、ドン・ぺリニヨン僧によってシャンパーニュが造られた年より早いことから、フランスで一番古い発泡性ワインとされている。なお、ブランケット・ドゥ・リムーとクレマン・ドゥ・リムーの違いは、熟成期間が前者の場合には9ヵ月以上であるのに対し、後者は12ヵ月以上という点だけだ。
地中海沿岸地方は、海産物はもとより、オリーブ、野菜、ハーブが豊富で名産物にもいろいろあるが、この発泡性ワインには、塩抜きした塩タラのすり身の「ブランダードbrandade」=写真右=や、オリーブ、ベーコン、アンチョビなどの入った惣菜パン「フーガスfougasse」を勧めたい。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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