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2014年9月11日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑤ボルドー その1

世界で最も偉大なワインの故郷

世界で最も優れたワインの産地として名高いボルドーは、質の高いワインをフランスで一番多く生み出す産地であり、世界で最も偉大なワインの故郷でもある。ボルドーの上質ワインは、ワイン法によって、下から地方名称(ボルドーBordeaux AC、ボルドー・シュペリュールBordeaux Supe'rieur ACのように、頭に「ボルドー」が付く名称)、地区名称、そしてコミューン名称(または村名称)で分類されているが、これに加えて、歴史的格付けと呼ばれているものがある。これは、1855年のパリ万博のためにナポレオン3世の命令により制定したもので、ボルドーのワイン商が扱っていたメドック地区(ボルドー左岸の地区)のワインを対象に、価格の高い順に1級から5級まで62シャトーを格付けしたものだ(1855年にはソーテルヌ地区の甘口ワインも格付けされている)。その格付けは、ひとつの例外を除いて、現在まで変わらぬまま保持され、世界のワイン市場において高価格で売買される際のよりどころとなっている。なお、ご承知の通り、シャトーとはボルドーのブドウ園のことで、ボルドーには何と8500ほどのシャトーがある。超有名なシャトーが、ボルドー・シャトーのほんの一握りにしかすぎないことがおわかりいただけると思う。

不安定な天候への挑戦

ボルドーには、ほかにも1932年に導入された、メドック地区を対象とするクリュ・ブルジョワCru Bourgeoisの格付け制度、サン・テミリヨン地区を対象とした、1955年導入の格付け制度がある。ワインを選ぶ際、例えば、ラベルにCru Bourgeoisと書かれた赤ワインは、値段も手ごろで良質、飲み頃のものが多く、信頼がおけるワインなので、消費者にとっても非常に便利な目印となっている
さて、ボルドーは天候が不安定であるため、各ブドウ園では開花や成熟期の異なる複数の品種を植え、ブレンドしてワインを造っている。上質ボルドー・ワインを造るために認可されているブドウ品種には、赤ワイン用にカベルネ・ソーヴィニョンCabernet Sauvignon種、カベルネ・フランCabernet Franc種、メルロMerlot種、プティ・ヴェルドPetit Verdot種、マルベックMalbec種、そしてカルムネールCarme'ne`re種がある。一方、白ワイン用にはセミヨンSe'millon種、ソーヴィニョン・ブランSauvignon Blanc種、ミュスカデルMuscadelle種、ユニ・ブランUgni Blanc種、コロンバールColombard種、メルロ・ブランMerlot Blanc種、オンダンクOndenc種、そしてモーザックMauzac種で、計14品種が認可されている。これらは同等に扱われてはおらず、上質赤ワインのほとんどにはカベルネ・ソーヴィニョン種、カベルネ・フラン種、メルロ種(そして、少量のプティ・ヴェルド種)、上質白ワインにはセミヨン種とソーヴィニョン・ブラン種が使われている。

右岸と左岸の二人三脚


© Robin Dubois
ボルドーには、中央山塊を源とするドルドーニュ川、その南に、スペインとの国境にそびえるピレネー山脈を源とするガロンヌ川が流れている。これら2つの川が合流してジロンド川となって大西洋にそそぐ。
ドルドーニュ川とジロンド川の北部をボルドー右岸と呼び、ガロンヌ川とジロンド川の南部をボルドー左岸、ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた地区をアントル・ドゥー・メールEntre-Deux Mer(仏語で「2つの海の間」の意)と呼んでいる。ボルドー右岸では、例外もあるものの、メルロ種主体の上質赤ワインを、ボルドー左岸ではカベルネ・ソーヴィニョン種主体の上質赤ワインを造っている。これに対し、アントル・ドゥー・メールでは主に白ワインを生産している。
各年のブドウの熟し方によって、「今年は右岸の年だった」とか「今年は左岸がよかった」と評される。ボルドー右岸では、ブラックベリー、ブラックプラム、ブラックチェリー(完熟しない年にはレッドチェリー)といった果実の香味が豊かで、酸味もタンニンもそれほど強くなく、口当たりがなめらかなフル・ボディーの赤ワインが生み出される。かたや左岸では、黒スグリ(仏語で「カシス」)、ブラックベリー、ブルーベリー、ピーマン、ミント、スギなどの香味を持ち、酸味とタンニンが多く含まれるワインが造られており、右岸のワインより長く寝かす必要があるワインが多いのも特徴だ。どちらも、オーク樽との相性がよく、樽から得られる、煙、バニラ、コーヒーといった風味もあわせ持つ。 
偉大なワイン産地ボルドーとブルゴーニュの赤ワインはともにビーフによく合うが、焼いたらボルドー、煮たらブルゴーニュとよく言われる。ボルドーはキノコの産地でもある。この秋、ソテーしたキノコを添えたロースト・ビーフにボルドー赤ワイン、そして、この周辺地方産のショームChaumes・チーズ=右写真=を楽しんでみてはいかが?

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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