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2014年10月9日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑤ボルドー その2

赤だけではないボルドーの魅力

世界で最も偉大なワインの故郷、ボルドーについて引き続きお届けしよう。ボルドー・ワイン産地には12万ヘクタールのブドウ栽培地があり、年間7億本のワインを生産しているが、そのうち89%が赤ワインだ。確かにボルドーは良質赤ワインの産地として有名であり、またブルゴーニュの白ワインに隠れる形となってボルドーの辛口白ワインについては、なかなか語られない。そこで、今回はボルドーの辛口白ワインについて書いてみたい。
まず、ボルドーの辛口白ワインは法律によって地方名称、地区名称、村名称に分類されている。より一般的なのが地方名称、次に地区名称、そして最も上質なワインが村名称ワインである(ただし例外もあり)。地方名称のワイン・ラベルには、「Appellation Bordeaux Contro^le'e」「Appellation Bordeaux Supe'rieur」というようにボルドーという地方名が明記される。地区名称のワインには「Appellation Entre Deux Mers Contro^le'e」「Appellation Graves Contro^le'e」と地区名が書かれ、そして村名称ワインには「Appellation Pessac Le'ognan Contro^le'e」と村名がラベルに表記されている。
ボルドーの辛口白ワインで村名称が名乗れるのはペサック・レオニャンだけで、この村自体はグラーヴという地区の中に位置している。もっともワインに関する村名称ワインというのは、実はひとつの村を指すのではなく、その村の周辺に点在する村も含まれる。つまり、「アペラシヨン・ペサック・レオニャンAppellation Pessac Le'ognan Contro^le'e」と名乗れるワインは、ペサックPassac村、レオニャンLe'ognan村、メリニャックMe'rignac村、タレンスTalence村、グラディニャンGradignan村、ヴィレナヴ=ドルノンVillenave-d'Ornon村、カドジャックCadaujac村、マルティニャックMartillac村の8村で造られている。

9シャトーが生む最上質ワイン

ペサック・レオニャンのブドウ栽培面積は1589ヘクタールで、赤ワインと白ワインを約半々生産している。1953年、59年、60年に格付けが行われ、シャトー・カルボニューCha^teau Carbonnieux、シャトー・オリヴィエCha^teau Olivier、シャトー・ブスコーCha^teau Bouscaut、ドメーヌ・ドゥ・シュヴァリエDomaine de Chevalier、シャトー・マラルティック・ラグラヴィエールCha^teau Malartic-Lagravie`re、シャトー・ラトゥール・マルティヤックCha^teau Latour-Martillac、シャトー・ラヴィル・オー・ブリオンCha^teau Laville Haut Brion、シャトー・クアンCha^teau Couhins、シャトー・クアン・リュルトンCha^teaux Couhins-Lurtonの9シャトーが辛口白ワインで最上質ワインと認められた。これらのワイン・ラベルには「Crus Classe'」または「Grand Cru Classe'」と明記されているのでわかりやすい。

カキやロブスターと楽しむ白


© H O'Malley
ボルドーの辛口白ワインはソーヴィニョン・ブラン種とセミヨン種から造られる。地方名称や地区名称のワインは、ブドウ品種の個性を生かし、ステンレス製タンク内で低温で発酵させることにより、さわやかで線が細く、柑橘類や洋ナシ、干し草などの風味を持つ、早期に消費するさわやかなワイン(例外あり)となる。一方、村名称のワインはオーク樽を使って造られる長期熟成タイプ。より芳醇、ふくよかで、炙ったナッツ、麦芽、オレンジ・ピール、パイナップル、桃、焼いたスパイス、ハチミツといった複雑な香味が凝縮され、オーク材の風味もしっかり活かされる。古酒として楽しむこともできるのが特徴だ。
さて、この地方、カキの養殖で有名なことは意外に知られていない。アルカッションArcachonという大きな湾があり、フランスにおけるカキの年間生産13万トンのうち、同湾ではその7割を生み出している。生はもちろん、燻製にしたり、茹でたり、焼いたり、揚げたり、ローストしたりするほか、シチューとして、あるいはスープで、蒸して、炙って…と挙げきれないほど色々な食べ方がある。
特に、レモンを絞って、またはエシャロットのみじん切りを加えたヴィネガーを添えて生で食べる場合には、風味がシンプルでさわやかな地方名称や地区名称ワインが合う。もともと、カキは多少ミネラル風味を伴う辛口白ワインと好相性なのだが、カキを焼くか揚げるかしてからマヨネーズをつけたり、ハーブやクリームを使ってローストしたりして食す場合は、村名称の複雑な風味を呈するワインとも合う。また、村名称のワインはロブスターとの相性が抜群で、ワインの酸味とミネラル、そして樽内での熟成によって得られたバニラ風味と、煙、ヨードのニュアンスが、ロブスターのうま味と風味を見事に引き立てる。ボルドー辛口白ワインとカキやロブスターとのマリアージュ。この秋、ぜひ楽しんで頂きたいお勧めのひとつだ。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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