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2015年4月9日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑩シャンパーニュ地方 その1

偉人たちが 愛してやまなかった飲み物

 

「ご当地ワインと郷土料理&名産物」のフランス編は、数回にわけてシャンパーニュ特集で締めくくることにしたい。暦の上ではすでに春。シャンパーニュが特においしく感じられる季節でもある。パーティーを華やかにし、女性が飲むにしても、あるいは朝から飲んでもエレガントに映るシャンパーニュは、崇拝者も多く、エピソードにもこと欠かない。幾つかご紹介しよう。
必ずシャンパーニュを飲んでから戦地に向かったと言われているナポレオン1世(1769~1873)は、「私は戦いに勝った時はその勝利を祝って、負けた時は我を慰むためにシャンパーニュを飲む」と語った。フランス国王ルイ15世(1721~64)の寵姫マダム・ポンパドールは、「唯一シャンパーニュだけは、女性の美しさを引き立てる」と言っている。『トム・ソーヤの冒険』などで知られる米国の小説家マーク・トウェーン(1835~1910)曰く、「何でも多すぎることはよくないが、シャンパーニュは多いほどよい」。英国の歴代首相の中でも最も敬愛される政治家、ウィンストン・チャーチル(1874~1965)にいたっては、ナチス・ドイツとの戦争について「紳士諸君、いいですか? 我々が戦っているのはフランスのためだけではなく、シャンパーニュのためでもあるのですよ」と言い放った。ファッション・デザイナーのココ・シャネルは「私はふたつのオケージョンでシャンパーニュを飲むの。恋に落ちた時に、そして恋をしていない時に」(つまり、ずっと飲んでいることになる!)。シャンパーニュの生みの父として名高いドン・ペリニョンは、シャンパーニュを造った時、周囲の人々に「早くおいで、今から星をテーストしますよ」と呼びかけたと伝えられる。

伝統を誇る 24のシャンパーニュ生産者

また、シャンパーニュは音楽や映画にも頻繁に登場する。まず、ヨハン・シュトラウス2世作曲の『シャンパンポルカ』。映画では、『The Seven Year Itch』(邦題は「七年目の浮気」)で、マリリン・モンローが「おとといの誕生日には一人だったので」と言って、ポテト・チップスを食べながらシャンパーニュを飲むシーンが印象的。また、ケリー・グラントとデボラ・カー主演の『An Affair to Remember』(邦題は「めぐり逢い」)では、英国からニューヨークに渡る船上のバーで、連れでもない二人が偶然に、一旦シャンパーニュ・カクテルを注文したにもかかわらずピンク・シャンパーニュに代えるシーンも心に残る。このように、シャンパーニュの登場する作品は、数え切れないほどたくさんある。
エレガンスとロマンスを象徴するシャンパーニュは、ニューワールドからの重い果実香味を強調したワインに対して、あくまでも上品で軽く、アルコール度数は高くなく、風味は強すぎず、それでいてコクがあり、後味が複雑な飲み物として独特の存在感を示す。人気は高まるばかりで、需要を満たすため、現在の3.35万ヘクタールという作付け面積は徐々に拡張されつつある。

319の村で造られる 魅惑の発泡性ワイン


© User: FXcuisine

© Luigi Anzivino/

シャンパーニュ地方は、パリから約130キロ北東に位置する北部大陸性気候の冷涼な地方で、北部のモンターニュ・ドゥ・ランスMontagne de Reims地区、南のコート・デ・ブランCôte des Blancs地区、西のマルヌ川沿いのヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌVallée de la Marne地区、南西のコート・ドゥ・セザンヌCôte de Sézanne、南東部のコート・デ・バールCôte des Bar地区の5地区から成る。中でも先述の3地区が最も重要な地区だ。
シャンパーニュを造ることが認められている村は319あり、そのうち17村がグラン・クリュGrand Cru(特級)に、44村がプルミエPremier Cru(1級)に格付けされている。シャンパーニュに使用できるブドウ品種は、ピノ・ノワールPinot Noir種(黒ブドウ品種)、ピノ・ムニエPinot Meunier種(黒ブドウ品種)、シャルドネChardonnay種(白ブドウ品種)、ピノ・グリPinot Gris種(白ブドウ品種)、アルバンヌArbane(またはArbanne)種(白ブドウ品種)、プティ・メリエPetit Meslier種(白ブドウ品種)、ピノ・ブランPinot Blanc種(白ブドウ品種)の7種。ほとんどのシャンパーニュは先に挙げた3品種から造られ、後の4品種の占める割合は全体の0.3%にも満たない。ピノ・ノワール種はモンターニュ・ドゥ・ランス地区で、ピノ・ムニエ種はヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区で、シャルドネ種はコート・デ・ブラン地区で主に栽培されている。
繰り返しになるが、ほとんどのシャンパーニュはこの3品種のブドウを混合して造られる発泡性ワイン。寿司を始め、料理と合わせやすい飲み物といえる。そのテースティング時に、シャンパーニュ地方でよく出されるのがグジェールgougère=写真。チーズを混ぜた風味の良いシュー皮のパフで、本来はブルゴーニュ北部の郷土料理なのだが、シャンパーニュと非常によく合う。シャンパーニュでお客様をお迎えする際に供すれば、最高のおつまみとして喜ばれるに違いない。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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