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2016年1月14日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑫イタリア・トスカーナ州 その2

黒ブドウ品種のみで
造られるようになったキャンティ

 

 

前回ご紹介したキャンティChiantiは、主にサンジョヴェーゼSangioveseという黒ブドウ品種から造られている。以前は、白ブドウ品種のトレッビアーノTrebbiano種やマルヴァジーアMalvasia種を最大各6%までブレンドすることが許されていたので、早めに飲む、フレッシュで軽いボディのキャンティが多かった。しかし、2006年からは白ブドウ品種の使用が禁止されたため、どちらかというとリッチで濃縮されたものが多くなった(ただし、コッリ・セネージColli Senesiは例外で、今年まで白ブドウ品種をブレンドすることが許されている)。現在、キャンティDOCGはサンジョヴェーゼ種を最低でも75%、キャンティ・クラッシコDOCGの場合には最低でも80%含まなければならない。残りは豊潤な香りをもつマンモロMammolo種、色調の濃いコロリーノColorino種、そして、やや個性の弱いカナイオーロCanaiolo種といったイタリア原産の黒ブドウ品種や、15%までならフランス原産のカベルネ・ソーヴィニョン種やメルロ種などをブレンドすることが認められている。

「ジュピターの血」を意味するブドウ

 

サンジョヴェーゼ種は古代ローマ時代から栽培されている品種で、その名前はギリシャ神話の天空神、ジュピターの血という意味である「サンギュイス・ジョーヴィスSanguis Jovis(ラテン語)」を語源とする。造られるワインの色調は中位から濃いめ、若いうちはルビー色で熟成とともにレンガ色を帯びるようになる。堅固なタンニンと金属的な高い酸味が特徴的だ。ベーシックなワインにはチェリーやプラム、ラズベリーの風味があり、収穫から3~5年で飲みきる必要があるが、高品質のキャンティやクラッシコは6~20年間熟成させる。特に恵まれた気候のヴィンテージ(収穫年)のワインには、チェリーやプラム香味のほかにシナモン、ドライフラワー、薪の煙、タバコ、なめし皮といった複雑で凝縮されたブーケがあり、口当たりもベルベットのように滑らかだ。
サンジョヴェーゼ種は、カベルネ・ソーヴィニョン種やメルロ種と異なり、世界中でも生産に成功している産地が少ない。クローンが多く、14種ほどのサンジョヴェーゼがイタリアのワイン産地のほぼ全域で栽培されている。
クローンは大きく2つのグループに分けられる。すなわち、良質のサンジョヴェーゼ・グロッソSangiovese Grossoと並質のサンジョヴェーゼ・ピッコロSangiovese Piccoloだ。サンジョヴェーゼ・グロッソに属すクローンの中でも特にブルネッロBrunelloが最も優れていると考えられている。色が濃いことから、茶色という意味の「bruno」に因んで名付けられ、モンタルチーノの中世の村を中心に栽培されている。

 

暑い夏と乾燥した秋が造り出す名酒

 

サンジョヴェーゼ種で優れたワインを造るためには、暑い夏と乾燥した秋という条件が必要なのだが、前述した地区はイタリア内でも最も暖かく乾燥しており、サンジョヴェーゼ種のブドウを完熟させることが可能だ。ここではこの品種を100%使ってブルネッロ・ディ・モンタルチーノBrunello di Motalcinoと称されるワインを生み出している。イタリアのワイン法によって、最も長く最低50ヵ月間熟成(そのうち最低2年間はオーク樽で熟成)され、キャンティやキャンティ・クラッシコよりもふくよかで、色調も濃く、香味も凝縮され、酸味は穏やかでタンニンが豊富な優れたワインだ。よいヴィンテージのものは20年以上寝かせて、さらに熟成させることができる。ワインの香味が非常に複雑なので、前回取り上げた分厚い骨付きステーキのビフテッカ・アッラ・フィオレンティーナといったシンプルな肉料理がよく合う。
レストランではブルネッロ・ディ・モンタルチーノは手が届かないほど高いことが多いが、そんな時は、ロッソ・ディ・モンタルチーノRosso di Motalcinoという弟分のワインをオーダーするとよいだろう。このワインは1年間(そのうち、オーク樽内で6ヵ月間熟成)のみ熟成させたもので、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノよりも軽く、気軽に飲める。といっても熟したブルネッロを100%使って造られているので、豊潤でふくよか、香りが高く、口当たりが滑らかな銘醸ワインだ。
さて、イタリアではステーキを食す際に、カヴォロ・ネーロCavolo Nero(ブラック・キャベツ)=写真=という野菜が添えられることがある(英国でもウェイトローズなどで購入可)。この野菜は、別名タスカン・ケイルTuscan Kaleとも呼ばれるトスカーナ州の名産物で、低カロリーでビタミンCが多く、癌を防ぐ免疫性を高める効果があり、生でジュースとして飲むと、痛風、関節炎、胃潰瘍にもよいと言われている。硬い芯を取り除いて調理する。スーパーなどで見かけたら、一度お試しいただきたい。

 

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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