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2017年2月9日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑲スペイン・ドゥエロ川流域

スペインの誇る、優れた白ワイン

 

スペインは世界で一番広いブドウ作付け面積を持ち、世界第3位のワイン産出国で、輸出では2014年から世界1位を維持している。 スペインには600種類ほどのブドウ品種が存在するが、特にテンプラニーヨTempranilloやガルナッチャGarnachaといった黒ブドウ品種から造られる赤ワインで有名であることはご存知の通り。だが、スペインにも知る人ぞ知る、優れたワインがある。ルエダRuedaとリアス・バイシャスRías Baixasで造られる原産地統制名称白ワインだ。今回はこの2つの白ワイン産地、並びにワインをご紹介しよう。

 

メドック風を目指した個性派の赤

まずルエダだが、このワイン産地は先月ベガ・シシリアで紹介したリベラ・デル・ドゥエロ地区の西隣、ドゥエロ川の南沿岸に位置する。大陸性気候で標高が700~800メートルと高い。ブドウ作付け面積は約1万3,000ヘクタール。約60のワイナリーが存在し、ワイン生産量は年間5,000万リットルで、うち白ワインが95%を占めている。認定されている白ブドウ品種にはベルデホVerdejo、ソーヴィニョン・ブランSauvignon Blanc、ビウラViura、パロミノ・フィノPalomino Finoがあるものの、白ワイン生産量のうち80%以上はベルデホ種から造られている。ベルデホ種の名前は世界ではまだあまり知られていないが、当地では誇りと喜びと謳われている品種。北アフリカ原産で、11世紀からスペインで栽培されているという長い歴史を有する。発酵には、ステンレス・スチールタンク槽ではなく、今でも大きな木樽が使用される。以前はシェリーを思わせる風味をもつものが多かったが、最近では爽やかな柑橘類やメロンといった芳醇な香りに、月桂樹を思わせるようなハーブの風味を伴うフレッシュなスタイルのものが主流になりつつある。帆立貝の料理やソフトチーズに大変合うワインだ。

 

投資家に好まれた超高級ワイン

次にリアス・バイシャス。ここはスペインの北西、大西洋に面する産地だが、どこか聞き慣れた響きの名前ではないだろうか。それもそのはず、実はリアス式海岸とはこの地域の複雑な海岸線から生まれた用語なのだ。ミネラルを多く含むこの冷涼な地区で、フランスのロワール川流域や、ニュージーランド、ドイツ産の白ワインに匹敵する上質ワインが造られている。ここで栽培されるブドウ品種の99%以上は白ブドウ品種で、うち、90%以上はアルバリーニョAblariñoと呼ばれるファッショナブルな品種が占めている。この品種は果皮が厚いおかげで、湿度の高い沿岸地帯で起きやすいカビ病に耐性がある。キリッとしまった酸味が特長で、メロンやモモ、パイナップルや杏といった香りにミネラル風味が伴うエレガントなワインを造る。ほとんどのワインで、アルコール発酵の後に起こりえる乳酸発酵(ワインに乳酸菌を植え付けることによって、ブドウがもつリンゴ酸を乳酸に変える)を避けるために、締まった酸味の爽やかなワインに仕上げる方法がとられているからだ。この地方名産のアルメイアス・アル・アルバリーニョAlmejas al Albariñoと呼ばれるハマグリのワイン蒸しと最高の相性だ。

リアス・バイシャスが位置するガリシア地方は、海産物に恵まれているだけではなく、温暖で湿度が高い海洋性気候が育む緑豊かな牧草地に恵まれているため酪農が盛んで、スペイン最大の牛乳産地でもある。そのため、ウヨア(またはウジョア)Ulloa, サン・シモンSan Simón、テティーヤ(またはテティージャ)Tetillaといったチーズでも有名だ。中でもテティーヤ(ふくよかなおっぱいという意味ももつ)は群を抜いてユニークなチーズ=写真。なんと、ふっくらとした乳房を思わせる円錐形。表皮は滑らかで黄色みを帯び、ミルクキャラメルのような風味で、中心部はバターに似たクリーミーな滑らかな口当たりのチーズだ。今回ご紹介したルエダにもリアス・バイシャスにも大変合うチーズなので、ぜひお試しいただきたい。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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リベラ・デル・ドゥエロは大陸性気候で、夏季は摂氏40度を超えるほどの暑さとなり、乾燥する一方、冬季はマイナス摂氏18度を下回ることもあるなど厳しい寒さに見舞われる。
 

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