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2013年2月21日

●征くシリーズ●取材・執筆/本誌編集部

天空を貫く新ランドマーク

「ザ・シャード」を征く

 

昨年、ロンドン・ブリッジ駅に
西ヨーロッパで一番の高さを誇るビルが姿を現した。
同ビルは、米国に端を発する金融危機が
世界中に広がりを見せていたころ、
オイル・マネーに沸くカタール国出資の下、
2009年に着工し、およそ3年の歳月を経た
昨年7月5日に外観が完成。
内装工事が進められる中、今月1日には、
ロンドンを一望できる
展望ギャラリーがオープンしたことで、
ようやくその一部が公開された。
今号では、出来立てほやほやの
超高層ビル「ザ・シャード」を征くことにしたい。

 

空に溶け込む超高層ビル

 

街を歩いていて、あるいはダブルデッカーの2階から外の景色を眺めていたとき、サウスバンク周辺にそびえる、空に突き刺さらんばかりのユニークな形の建物を目にした人も多いだろう。これがロンドン・ブリッジ地区周辺の再開発の一環として誕生した、西ヨーロッパで一番高いロンドンの新名所「ザ・シャード(The Shard)」だ。
歴史的建造物がひしめくロンドンで、ひときわ目を引く近代的な建物だが、「西ヨーロッパ一の高さ!」と意気込んで訪れると少しがっかりするかもしれない。その高さは309・6メートル。昨年日本に開業した電波塔、東京スカイツリー(634メートル)のわずか半分ほどしかなく、現時点で世界一高いビル、ドバイのブルジュ・ハリーファ(Burj Khalifa)の828メートルと比べると、足下にも及ばない。
とはいえ、外観完成当時ヨーロッパ最高層。現在はモスクワに建造された「マーキュリー・シティー・タワー(ercr i Toer)」に抜かれ、西ヨーロッパ一となったが、それでもこの建物がロンドンの風景に新たな彩りを添えていることがわかるだろう。
建設費およそ4億5000万ポンドをかけて完成した「ザ・シャード」は、イタリア人建築家のレンゾ・ピアノ(Renzo Piano)氏によって設計された。日本では関西国際空港旅客ターミナルビル、銀座のメゾン・エルメスを設計したことで知られている建築家だ。彼は、18世紀のイタリアを代表する風景画家のカナレット(ioanni nonio anal)が描いたテムズ河とロンドンの街並にインスピレーションを得て、教会の尖塔やテムズ河に停泊した帆船のマストをイメージし、ロンドンの空に向かって伸びる一本の塔をデザインした。
一見すると三角錐あるいは四角錐のようにも見えるが、ガラスの破片を意味する「シャード」の名の通り、建物はガラス張りで8つの小平面(ファセット)から構成されている。それぞれの面はデザイン上、隣の面と接することはなく、独立して天高く伸びている。上に行くほどに中心に向かって傾いているが、頂上で交わることもない。空に向かって開放され、建物が呼吸をするような自然さが与えられているという。
また、透明度の高いガラス素材を使用することで、一日の中で四季があると言われるほどに変化するロンドンの空の表情を映し出すのに成功している。雲が浮かぶ晴れた日には、外壁に雲が映り、まるでシャード自体が空に溶け込んでしまったかのように見える独特の演出は、歴史的価値を大切にするロンドンで近代的な建物に嫌悪感を抱く人々にも少しは受け入れられるのではないだろうか。
さて、そんな硬い話よりも、やっぱり気になるのは施設の中身だろう。
冒頭で出来立てほやほやと書いたが、実は内装まで完全に出来上がっているわけではない。最上階が72階となるシャードには、展望ギャラリーのほか、レジデンス(分譲住宅)、ホテル、レストランそしてオフィスが入居することになっており、これから夏にかけて続々と活気づいていく予定だ。
今月1日にオープンした展望ギャラリー「ザ・ビュー・フロム・ザ・シャード(The Vie from The Shard)」についてはあとで述べるとして、まずはレジデンス・エリアからご紹介しよう。

 

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