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2013年10月31日 No.803

●サバイバー●取材・執筆/佐々木 敦子・本誌編集部

 

 「前政権が寛容な政策を取ったことにより、大量の移民が流入した。現在、そのために本来国民が受けるべき公共サービス(医療・教育)が脅かされている」として、保守・自民党の連立政権は労働党を激しく非難。これを理由に、同連立政権が移民制限を宣言し、英国民優先の方針を全面に押し出しているのはご存知の通りだ。だがその一方で、2014年1月には、ブルガリアとルーマニア国籍の人々が英国の労働市場に参入する際に設けられていた制限が取り払われる予定だ。
ルーマニアとブルガリアは07年に欧州連合(EU)に加盟し、以来、同国出身者はビザなしで英国に入国することが可能となった。来年1月には今までのような就労時の制約がなくなり、他のEU市民と同様な権利を享受できるようになる。
両国からの移民が今年すでに大幅に増加している事実から、今後、さらなる移民流入を予測する英政府は、対抗策を公表。といっても、対象はEU加盟国以外からの移住者で、例えば英国に6ヵ月以上滞在する人すべてに対し、NHSの一部有料化の計画などを立てている。つまり、我々日本人を含む非EU加盟国出身者への「風当たり」が、一層厳しくなることを覚悟しなければならないのだ。
一方、ホーム・オフィス(内務省)内でも大きな変化が見られる。同省の入国管理セクションである、「英移民局UK Border Agency(=以下UKBA)」は、2008年に業務を開始。ところが、おびただしい数の保留案件を抱えるなど、問題が山積し、業を煮やしたテリーザ・メイ内相が直々に改革に着手、今年4月1日からUKBAを直接ホーム・オフィスの管轄下に置き、さらに次の2つの部署に分けた。ひとつはビザ・移民問題を受け持つ「UK Visas and Immigration」、もうひとつは取締りを担当する「Immigration Inforcement」だ。以前と比べて、問い合わせ時のコミュニケーションが円滑になるなど、一定の成果は挙げているようだが、一層の改善が求められている。
こうした中、ポイント制システム(points-based system)導入をはじめとする、45年ぶりとされる大改定は引き続き進行中といえる。「Tier 1」と「Tier 2 」は導入されてからすでに5年が経過したものの、いまだに修正・変更が繰り返されている。今回は、我々日本人にとって関係の深いビザの変更点を中心に、奇々怪々とさえいえる現在の複雑なビザ事情を、前・中・後編に分けて見ていこう。

 

本稿執筆にあたり、ロンドンを拠点に、多国籍企業専門の法律業務に携わっているBAKER & MCKENZIEおよび、同社のイミグレーション・スペシャリストである藤本静子氏には、多大なるご協力・ご助言をいただきました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
※本稿内にある情報は2013年10月20日現在のものです。予告なく頻繁に変更が加えられている状況である点、ご了解ください。また、紙面に限りがあるため、注意点、あるいは例外など、ここでご紹介しきれなかった事柄も少なからずあることをご了承ください。

 

 

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