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2013年11月28日 No.807

●サバイバー●取材・執筆/佐々木 敦子・本誌編集部

 

 長引く不況の中、英国民が抱く移民への思いは複雑だ。否定的な意見ばかりではなく、ある調査で「同じ雇うなら、英国人より移民を選ぶ」と豪語する英国の雇用主が少なくないことが判明。その理由は「移民のほうが優秀。資格を備え、やる気もあり勤勉」ときわめて明快だ。しかしその一方で、英国民の3人に1人が「職探しが難しいのは、大量に流れ込んできた移民のせい」だと、強い反感を持っていると報じられている。
有権者の数という観点からみると、移民に悪感情を抱く後者のほうが圧倒的に多い。保守・自民党の現連立政権が、この多数派である反移民の有権者のご機嫌を取らざるを得ないのは、次の総選挙での勝利を目指す限りは当然のこと。移民政策は、英国の政党間で繰り広げられるし烈な政権争いの中で、税制などとならび、有権者に支持を訴える際の重要ポイントのひとつとなっていると言えるのだ。
ところが、EUという枠組みの中にあっては、移民政策も英国の思い通りにはなかなか進めることができないのが実情。例えば、2014年1月には新たにブルガリアとルーマニア国籍の人々が英国の労働市場に本格的に参入することになっており、今後両国からのさらなる移民流入が予測されているが、英国にこれを止める手立てはない。
EUの一員というしがらみから抜け出せない英国が、移民政策において唯一、厳しくあたれるのが、日本人を含む非EEA加盟国出身者なのである。つまり、我々に対して行われている数々の締め付けは、「しわ寄せ」にほかならず、不条理のひとことにつきるだろう。
とはいえ、ここで泣き言ばかりをいっても始まらない。「文句があるのなら、英国に来るのをやめればいいでしょう」というのが、英政府のスタンスだからだ。我々日本人が、この移民政策に対して講じることのできる策はあるのか―。それを探るべく、『前編』では「Tier 1」や永住権など、『中編』では「Tier 2」について、現状をお伝えしてきた。締めくくりとなるこの『後編』では、「Tier 4」、そして「Tier 5」に関してお送りすることにしたい。

 

※EEA(European Economic Area=欧州経済地域)加盟国は次のとおり(13年11月1日現在):オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトヴィア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア 、スロヴァキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、英国

 

本稿執筆にあたり、「デロイトDeloitte LLP」の田中リカ様には、多大なるご協力・ご助言をいただきました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
※本稿内の情報は全て2013年11月22日現在のものです。予告なく頻繁に変更が加えられている状況である点、ご了解ください。また紙面に限りがあるため、注意点、あるいは例外など、ここでご紹介しきれなかった事柄も少なからずあることをご了承ください。

 

 

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